さきはやすみます

やすみたいが口癖

ものづくりを仕事にしたいなら、とにかくあなたが欲しいものを作って発信するべし!

      2017/07/06

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「ものづくり 仕事」という検索でこのブログに来てくれる人がちょこちょこいます。今日はそれについて思うことを書きます。

私はダンスドレスをオーダーメイドで作るという極めてマニアックな仕事をしていますが、その仕事を始めるきっかけとなったのは完全に自分の趣味でした。

 

欲しいものがないから、自分で作ってみた大学時代

 

大学生の頃、競技ダンス部に所属していた私は、競技会に出るために高額な(何十万という価格帯)ドレスが必要だということを知りました。しかも、買わずにレンタルすると学生でも1万円。普通に借りると3〜5万、時には10万円というものも珍しくないのです。今でこそかかっている材料や手間を考えるとそれも妥当だということがわかるのですが…。はじめてドレスの値段を聞いた時は、目玉が飛び出るかというほどびっくりしたのを覚えています。

社交ダンスというスポーツは、結構お金がかかるんですね。

毎週のレッスン代が2人で割ってひとり一回1時間3000〜5000円くらい。練習するのに使える練習場の入場料が毎回1000円。シューズも毎日のように練習していると半年くらいで一足履きつぶしてしまうので、それが2万円弱。その他試合のエントリー費、交通費やら、部活のための部費やら合宿費やら、それなりにかかってくるわけです。ひと月に3~4万円くらいかな。もっとかな。一応学生だから、バイトに明け暮れて時間を削られるのも嫌だし、でも競技会では結果を出したいし、結果を出すための練習にかけるお金も時間も削りたくありません。

そこに更にドレス代が1着20万円とか、まじかい!って思いません?思いました、私は。

しかもその20万とかのドレスをドレス屋さんで見るんですけど、どうもことごとくいまいちだったんですよね。今は社交ダンスドレスの市場もネットが普及して海外の素敵なドレスが比較的リーズナブルな価格で手に入るようになりましたが、私の頃は高額でしかもセンスがいまいちな(と私は感じていた)日本の限られたメーカーの中から選ぶしかない…。

そんなにお金かけて、自分が着るものに変なものは嫌!

って思いつつも、どうしようかなーと何気なくドレスの裏をめくってみて、そうだ!と思いつきました。

これ、もしかして自分で作れるんじゃない??

洋裁経験0、ダンスドレスの作り方なんてどこを探しても見つからない、そんな状況で今思うと無謀ですが、やりたい気持ちがむくむくと湧いてきて、とにかくやってみよう!!と見よう見まねでドレス作りを初めてみた。それがスタートでした。

それが続けていたら意外に評判で、ブログを書いたら注文が来るようになって、また勢いで独立して今に至る。

という流れです。自分としては、好きだったから続けていただけなのですが、そこに意外な需要があったということに驚きました。

インターネットで、少数のニッチな好みを持つ人にリーチできるようになった

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「それは、たまたま運が良くて、特別な状況だったからでしょ??」

ってお思いでしょうか。たしかにそれはあると思います。

社交ダンスの業界はとても狭い世界なので、口コミがものを言うということも大きかった。たまたま私がブログを始めたタイミングは世の中がスマホにシフトしていって、インターネット上で買いたいモノを見つける、というのが以前よりも更に普及する時だった、というのもあると思います。

でも、確かに私は運が良くてニッチな世界に上手く入っていけただけかもしれませんが、他の分野の他の人でも、そんな風に「自分の仕事」を持つことが難しくない世の中になってきているのではないか?と思います。

それはやっぱりインターネットの力です。

インターネットのおかげでいままで見向きもされなかったような小さな個人でも、適切に情報発信をしていればそれを必要としている人に見つけてもらえるようになりました。これは大きなプロモーションをかけられない、力を持たない個人にとって強力な後押しだと思うんです。

インターネットで個人でも簡単に情報発信ができるようになる以前は、どんなに頑張っても身近な10000人くらいにしか直接アプローチすることはできなかったと思います。仮に1%の人に響いたとして、10000人の中に100人。たった100人にピンポイントでつながるのは至難の技でしょう。

それが、ネットでブログを書いたり、ネットショップを開設したりすると、ネットにつながる全ての人の中からその1%を見つけることができるようになりました。日本人全員の1%でも100万人です。あなたの作り出したものを気に入ってくれるかもしれない人が100万人いれば、その中の人につながることはそう難しいことではありません。

 

世の中にはこんなにモノがあるのに、自分が欲しいものにドンピシャ!なものはなかなかない

ところで、みなさんは「欲しいもの」ありますか?

こう聞かれて、これが欲しい!と明確に商品名で答えられるもの。意外に少ないんじゃないかなと思います。

そのかわり、漠然とこんなものがあったらいいのに、とか、こんなふうな生活をしていきたいとか、そういうイメージだったらどうでしょう。これは結構いろいろ思い浮かぶのではないでしょうか。

私たちの周りに、もうすでにモノは本当にたくさんあります。必要なモノは、ネットで検索すれば大抵見つかりますし、ポチッと注文ボタンを押せば翌日には玄関先まで届く時代。

それなのに、欲しいものがない。

そうだからこそ、欲しいものがないのかもしれません。

私たちがモノを欲しがる時、本当に欲しいのはモノそのものではなく、そのモノが与えてくれる楽しい時間、素敵な自分、幸せな気分。そういった漠然とした感覚です。「何を幸せに感じるか」というのはとても個人的なことなので、たくさんの人に向けて、たくさん作られた製品では、そんなニーズを満たすことができなくなっているのではないでしょうか。

だからたくさんモノがあるのに、自分にぴったりの、自分だけを幸せにしてくれる、そういう理想のモノがない!

と多くの人が感じているのだと思います。

 

「あなたが本当に欲しいもの」を作ることに意味がある

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自分にぴったりの、欲しい!というモノが見つからない。ここがこうだったらもっといいのに。こんなモノがあったら絶対に買うのに!

あなたがそう不満に思うのなら、それはチャンスです。

世界のどこかには、必ずあなたと同じことを考えて、こんなものがあったらなーと思っている人がいます。どんなにマニアックなものであっても、おそらく0ということはほとんどありえません。絶対に共感してくれる人が存在します。

もし、自分がこんなものが欲しい!あったらいいのに!と思うものを作れるのなら、それを欲しいと思う人は必ず現れるのです。

あなたが本当に欲しいモノは、たくさんの人に向けて作られた汎用品とは真逆の、あなただけをターゲットに、あなたの心のど真ん中に響くモノです。例えそれが響く人の数は少なくても、そのわずかな人たちには熱狂的に評価してもらえるかもしれません。そして、あなたの作ったものがどんなにニッチでも、というかニッチであればあるほど、その人たちはちゃんとインターネットを通して、あなたのことを見つけてくれるのです

自分から売り込みにいかなくても、こんなものを作ったよ、と発信していれば欲しい人の方から探してくれます。それが巷ではすぐに買えない、個人的な好みを反映したものであればなおさら。

 

作るだけで終わらず、発信しよう!

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そんな上手い話があるの??

と疑問に思われるかもしれません。でもこれはまじです。というかその結果として私も現に今の仕事をしていますので。

 

ブログで作品をアップしていて仕事が舞い込んでくるようになった、という人の例はたくさんあります。

ダンボールアーティストのいわいさんとか、その代表ですね。ディズニー映画に作品を作ったりとか、その活躍ぶりはすごいです。

「ダンボールアート」なんて最初聞いても何かわからないですよね。そのくらいニッチで小さな業界(?)ですが、それでもちゃんとクオリティーの高いものを作って発信し続けていれば、それを必要としている人の方が自ずと見つけ出してくれるんです。

 

だから、自分が本当に何かを作り出すことを生業にしたい!と思うのなら、とにかく自分が欲しいと思うものを作って発信し続けることをおすすめします。この「発信する」というのがすごく大事で、自分ではどんなに素晴らしいものを作ったと思っても、発信しないで自分の手元に大事に置いておくだけでは存在しないのと一緒です。

ブログに書くなり、ネットショップを作って売ってみるなり、やり方はたくさんあります。そしてとても簡単です。

もちろん、自己満足で作っただけで、人に受け入れてもらえるクオリティでなければ仕事にはなりません。

でもその未熟な段階から、どんどん公開していくべきだと思います。人の目に触れることによって、改善点が見えたり、新しいアイデアが手に入ることは多いからです。

 

自分の欲しいものを作れ!と言いつつ、発信して人の意見を聞け、というのは一見矛盾しているようですが、モノ作りにはそういう主観的にいいと思うモノを、客観的な視点を取り入れながら作り上げるというのが欠かせませんし、その2つはちゃんと両立します

作りたいモノの本質は主観で決め、そのクオリティは客観で決める。そういう姿勢が必要だと思います。

だって、あなたが本当に欲しいものというのは、決して中途半端なクオリティのものではないはずですよね。

自分に最適なモノを、一番いいクオリティで欲しい。それを目指すのが自然です。それに近づくには、人の意見を聞くのが近道なのです。

 

まとめ

  • まさにこれが欲しかったんだ!と思えるモノは意外に少ない
  • あなたが本当に欲しいと思うものは、他の誰かも欲しいもの
  • ニッチでも、すごく少ない人数でも、インターネットの中でならリーチできる
  • あなたの欲しいものを作って、発信しよう

結果として今はダンスドレスを作ることを仕事にしていますが、最初はお金にならなくても、むしろお金を払ってでも、ただただ作りたい!という想いでやっていました。そのくらい創作することに対する情熱があるのなら、やり続けて行けば質も上がるし、ものづくりを仕事にすることはそこまで難しいことではないと思っています。

もちろんお金を稼ぐ為に作るようになることで生まれる苦しみや葛藤もあります。それでも自分が作ったもので人が喜んでくれて、対価を払ってくれるというのはこの上なく嬉しいものです。

 

こちらは久石譲さんが自分のものづくりの姿勢について語った書籍。

巨匠と呼ばれる人が何を考えて、何かを作るという仕事をしているのか。ものづくりに関わりたい人は一度読んでおくべき本です。

 

 

ではでは、早でした。

 

関連記事:個人で「ものづくり」を仕事にするために必要なこと

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