バリキャリでも、専業主婦でもなく、普通に働いていたいだけなんだけどそれってわがままなの?
2017/07/06
"本当に優秀な人はマタハラなんて受けないですよ、産んでも戻ってきて欲しいと思われるくらい優秀な人はね”
っていうどっかの記事に書かれていたコメントを見て、
まあ確かにそうなんだけどさ。でもそれってどうなんよ?なんかモヤッとするよね、
というやりとりを昨日Twitterでした。
この主張、確かに正論だ。必要とされている人、役に立っている人は、例え妊娠して休んだからって疎まれたりなんかしないのだろう。そういう人物でありたい、というのは誰しも思っていることだし、ほとんどの働く女性はそうなれるよう努力もしているはず。
だけど、これは多くの人を苦しめるだけで、何一つ問題を解決しない考え方だなと思います。
ここで言われている”本当に優秀な人”というのが、いったいどのくらいいるのだろう?
現実は、一度職を離れなければならないというハンデを持っても職場で重宝されるほどの実績を持っている人なんて、ほんの一握り。その他のほとんどの人は、残念ながら特別優秀なわけでもなく、普通に働いている人たち。
もちろん、優秀であるに超したことはないし、努力してその地位を築いた人は当然に報われるべきだと思う。
けれど、そんなスーパーウーマン以外は、妊娠・出産したら仕事に戻ってきてはいけないというのだろうか?
そのようにしか考えられない社会は、とても悲しい。
バリキャリってほどじゃないけど、専業主婦も嫌!
あなたは働いていたいですか?どんなふうに働きたいですか?
そう聞かれて、どう答えるでしょう。
キャリア最優先で死ぬほど働きたい!みたいないわゆるバリキャリ志向の人や、逆に絶対に働きたくないからさっさと結婚して専業主婦になりたいです!っていう人。そんなに多くはいないんじゃないかな。
ほとんどの人は、できるなら自分を活かして一生懸命になれる仕事をしたいし、もし出産をしたら育児だってちゃんとしながら、無理しすぎずに働き続けられるのがいい。つまり、「普通に」働いていきたい。っていうのが本音。
でも、最初に挙げた正論でいくと、そういう人は出産でキャリアをストップしたら、その後戻って来れなくてもしょうがないよね、だって特別優秀な人じゃないから。っていうことになってしまう。
大部分の働きたい女性を切り捨てて、それで果たして女性活用なんてできると思います??無理でしょ!
なんだか女性の労働の問題は、すぐに女性自身のやる気とか能力のせいにしたがる人が出てくるけれど、どうやったって出産の負担のない男性やそれをしない選択をした女性と比べられたら、パフォーマンスで落ちてしまうのは当然のことです。
だからってその人たちの力を全部切り捨ててしまうのではなく、じゃあどうやったらできる範囲でも活躍できるの?っていう制度設計を考えていくべきだと思う。
自己責任とか言ってても、なんも変わらないよね。
産後女性だけの問題じゃない。男性だって、過度な自己責任論では苦しくなるだけ。
誰だって、思うように働けなくなる可能性はある
「本当に優秀ならそんな憂き目には遭うはずがない!本人の問題だ!」
と言っているみなさん。
じゃあ、あなたは産休中のあの人より、本当に特別優秀、ですか?
考えてみてください。
もし、不慮の事故や病気、あるいは家族の介護などやむにやまれぬ事情で休まなければいけなくなって、その後もフルパフォーマンスで仕事ができなくなってしまった。そんな状態になったとき、「自分は絶対に足を引っ張ることはないし、職場の人たちだって自分を必要としているから肩身の狭い思いなんてするわけない!」
…なんて言い切れます?
言い切れる人はいいです。ぜひそのまま頑張ってください。ただし、全ての人があなたのようにはいかないということを頭の隅に覚えておいてほしい。
多くの人には、きっと無理だと思う。自分の限界を越えた何かが起きて、思うようにいかなくなる可能性は誰にだってある。その想像力をもって、どういう社会が理想なのか考えなければいけない。
っていうか男はどーなのよ?
ていうか、男性なら「特別優秀ではない」普通の人だって、普通に働き続けて、結婚もして子供もいて、っていう生活を問題なく送っていますよね。
出産する女性にだけその「普通」を求めることすらわがままだというのは、明らかにおかしいんじゃないの?
女性が働きやすい社会は、全ての人にとって働きやすい社会
なんだか今の日本の社会は、働きたい女性が思うように働けず、そんなに働きたくない男性が死ぬほど働かなければならず、お互いに損しているように見えます。
男性だって、自分はゆるキャリでいいし家事育児してるほうがいいよ、っていう人もいれば、子育て中の女性でもバリバリ働きたい!って人もいる。
なのに、働きすぎて鬱になっちゃう男性はたくさんいるし、育児と仕事の両立が大変すぎておかしくなりそうな女性もまたたくさんいるわけで。
頑張れない、頑張らない人にも優しい社会は、結果として健康に楽しく働く人が増えて生産性も上がるはず。ハンデのある人が働きやすいということは、その人たちだけを優遇しているのでは決してなくて、まわりまわって全ての人にとって優しい社会になるのです。
と言っていても、それをどう実現するか、というのはとってもとっても難しい問題ではあるのだけれど。
今の段階で女性個人にできる防衛策が、結局冒頭の「本当に優秀な人」になれるように努力することしかない、というのがなんだか切ない。
でも、ひとりひとりの考え方が、世の中全体の価値観を作っている。
少しでも考えてくれる人が増えれば、ゆっくりだけど着実に、変わって行くのだと思う。それを待っているほどには私たちに時間も余裕もないけれど、その声を上げることをやめてはいけない。
では、早でした。
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